登山の知識&ヒヤリハット
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ヒヤリハットで疑似体験

越前岳で転倒し怪我

2018年1月23日印刷
発生日 2017年06月15日
体験者名 2017年Y084
登山地域 越前岳
登山概要

■パーティ人数:1人
■山行スタイル:個人山行
■宿泊:日帰り
■登山内容:縦走
■天気:晴時々曇

ヒヤリハットタイプ

■解決種別:自力下山
■登山計画時にそのリスクに対する検討を行ったか:した
■行動中にリスク回避や軽減が行えたか:した

ヒヤリハット本文

 9:15十里木バBSを出発し、11:50越前岳山頂に到着。予定(標準CT)より20分早かった。朝方姿を現していた富士山は直ぐに雲に隠れ、今回の山行目的である富士山撮影はできず、登頂の達成感は薄かった。帰路は、黒岳へ続く尾根を縦走し、富士見峠から山神社へ下るルート。富士見峠まで順調に下り、13:55予定より早く富士見峠を出発。愛鷹山荘を過ぎて間もなく、やや急な岩場に出くわす。梯子やロープが付けられているが、後ろ向きで降りるほど急ではなく、中途半端に急で、ロープも頼りなかった。結局、ロープは使わず、自分の2本のストックを突いて下って行った。2つ目の梯子を下りた先に1mの岩場の段差があり、岩の上で一瞬どのように下るか考え、左の岩にステップを求めれば下れると判断し、岩の上に左足を置いたが、思ったよりも傾斜があり、かつ苔むしていたため滑り始めた。この瞬間時間が非常にゆっくりと進む感覚があり、マズイこのままでは転倒すると退避姿勢をとったが、転倒して1回転半し、頭を下にして登山道上に倒れた。強い痛みで動けず、痛みが少し鎮まるまでそのままでいた。この間誰か来ないかと頭によぎったが、誰も来ないと直ぐに冷静になり、兎に角処置をしようとザックを外して上半身を起こした。左足と右肩に痛みがあり、左足のズボンをめくってみると、膝から脛にかけて擦過傷から血が滲んでおり、そこから外側が打撲していた。私は山で怪我をすることを想定して、鎮痛スプレー(フェルナビク)やテーピングテープを常に携行しており、怪我した箇所に鎮痛スプレーを噴射した。肩の方が痛く、気になったが、服を脱ぐと再び着ることができなくなるかもしれないので、山シャツのボタンを外して、下着の上からスプレーした。骨折はしていないようで、鎮痛スプレーの効果がすぐに表れ、立ち上がって歩いたり、ザックも背負えた。自力下山と決め、ゆっくりと慎重に歩いて、山神社に着いた。  Compassで登山届を提出していたので、山神社で下山報告しようとスマホを取り出したら、スマホは蜘蛛の巣のようにガラスが割れていた。痛みを堪えながら、途中鎮痛スプレーを何度も使って、普通にバスと電車を乗り継いで帰宅した。後日、整形外科を受診したら、肩は脱臼寸前のじん帯損傷であった。行動が困難になるような大怪我をしていたら、事態はもっと深刻であった。

要因分析
装備や外的要因の分析(3×3要因分析表)
装備
36年ぶりの登山再開初回の山行で膝を痛めた経験から、山中で怪我や体調悪化することを想定して、治療薬(外用薬・内服薬)を常に携行している。今回、これを活用したことで、無事下山できたと考えている。
コース
山の状況
装備
コース
山の状況
装備
コース
山の状況
登山者自身の内的要因分析(技術、知識、体力、経験等)3×5登山者分析表
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
問題の岩場の下り方は3通りあった。A.右に付けられたロープを頼りに、右路肩の土手を伝い、最後に1mの段差を飛び降りる。B.登山道に尻をつき、ズルッと滑り降りる。C.左の岩にステップを求め、階段を降りるように下る(今回の方法)。今にして思えば、正解はB。最も安全な方法だった。それをとることができなかった自分の甘さが、今回の主要因。 当日の登りは、単独行の若い女性と私だけ。その方は足が速く、見る見るうちに遠ざかって行った。自分の年齢を思い知らされ、標準CTより早く山頂に着いたにも拘らず、帰りのバス時刻が気になって、焦りを感じていた。気持ちに余裕をなくし、ゆっくりと下るという動作を縛っていたことが遠因と思う。
対策

特に岩場やガレ場の下りでは、今まで以上に慎重に足場を確保して下る。

学びの場

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