登山の知識&ヒヤリハット
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ヒヤリハットで疑似体験

御嶽山噴火

2018年1月18日印刷
発生日 2014年09月27日
体験者名 2017年Y043
登山地域 御嶽山
登山概要

■パーティ人数:2人
■山行スタイル:個人山行
■宿泊:日帰り
■登山内容:8合目付近で紅葉撮影
■天気:晴れ

ヒヤリハットタイプ

■解決種別:自力下山
■登山計画時にそのリスクに対する検討を行ったか:少しした
■行動中にリスク回避や軽減が行えたか:した

ヒヤリハット本文

“ 噴火の瞬間 私が居たのは8合目。女人堂から三の池方面へ推定800mほど進んだところにある絶景ポイント。この写真を撮った直後、山頂方向に入道雲のような白煙が音も衝撃もなく不気味に上がった。瞬間的に「石が飛んでくるかもしれない!頭上注意!」と注意を促す。隣に居合わせた御婦人は取り乱している。嫁も声を強張らせている。もちろん私も内心パニック。それでもシャッターを切った。これが正常性バイアスなのだろう。シャッターを切りながら噴煙の色・向きを確認する。白い噴煙が黒い噴煙に変わり、尾根を挟んで西側の谷を下っていく。こちらへは向かっていない。石も飛んできていない。風向きは。。。ほぼ無風。白い噴煙は水蒸気噴火に違いない。その後の黒い噴煙は。。。火砕流か??だとすると非常にまずい。必死に状況を確認する。
 危険な状況は分かっているが、逃げるにしてもどうするか考える。山小屋は噴煙に近いが下山口にも近い。逆方向は山小屋は遠いし、下山口も遠い。山小屋方向だ!山小屋方向ならもし万が一のことがあっても発見が早いだろうとも考えた。嫁と二人、必死に走る。お互い「大丈夫!落ち着いていこう!」「パニックが一番危ない」「転んで動けなくなったら大変だ」と声をかけながら。5~10分ほど走っているとポツポツと雨音がしてくる。よく見ると落ちる瞬間に「ほわっ」っと広がる。火山灰である。直ぐに嫁にタオルを渡し、自分はハンカチで口・鼻を覆う。ポツポツが徐々にバラバラとした音に変わる。そして辺りが暗くなる。すぐさま登山道脇の木陰に隠れる。火山灰により太陽光が遮られ、辺りは一瞬で暗闇となる。こうなることは予想していたが、想像をはるかに超える暗闇。手の平すら見えない。ヘッドライトはザックの一番上に入っているが、取り出す余裕などない。「大丈夫?」「大丈夫!」と確認しながらひたすら暗闇と火山灰に耐える。突然ゴロゴロ!と轟が響く。一瞬落石かと思ったが、正体は雷。細かい火山灰が擦れ合い静電気が発生し雷となる。
この現象も噴火時に発生することは知っていたが、まさか自分がその中に居るとは。。。暗闇はなかなか晴れない。バラバラと降り続く火山灰、小さい噴石、雷、硫黄の香り。生きた心地がしない。暗闇の中、これ以上大きな噴石が落ちてこないこと、落雷に遭わないこと、危険なガスが発生しないこと、火砕流、溶岩流が発生しないことを祈る。10~20分ほど耐えた後、あたりが明るくなり始める。後ろからも他の登山者が歩いてくる。その人たちの後を追うように山小屋を目指す。辺りは一面灰色。もちろん自分達も。降り止まぬ火山灰の中、灰色の世界を歩く。火山灰は粘度が高く、足が重い。10分ほど歩き、女人堂小屋に到着。すでにTVクルーがいて驚いたが、紅葉を撮影に来ていて偶然噴火を撮影したようだ。(このときの映像がニュース等で流れています)。山小屋の中は人で一杯。でも、パニック状態ではない。皆疲れた様子だが落ち着いている。下の様子も分からないので、ここで待機。
 13:00頃だったか、山小屋より「気象庁より連絡がありました。今は収まっているのでゆっくり下山して下さい」と案内がある。身支度を整え、下山を開始。まだ火山灰は降り続いている。下山しても車がどうなっているか分からないが、ここよりは安全であろう。粘土状の火山灰がこびりつき足が重たい。何度もそれを落としながら下る。15:00頃 無事駐車場到着。皆互いに「お疲れ様!!」「無事でよかったですね~!!」と言葉を交わす。靴、ザック、衣類についた火山灰を取れるだけ取り、車両のフロントガラスを清掃し、道路の開通を待つ。(火山灰除去の為、通行止めとなっていた)。18:30頃 無事帰宅。本当に運よく生きて帰ることが出来ました。暗闇でひたすら耐える中、自然はすべての生物に平等であり 、人間は地球上で生きる一生物である。と感じました。非常に怖い・危機的な体験をしましたが、自然が怖いものだとは感じていません、むしろその偉大さを感じました。また、ニュースで情報が更新される度に、本当に運が良かったと感じています。自然に生かされている。そう感じた御嶽噴火でした。”

要因分析
装備や外的要因の分析(3×3要因分析表)
装備
コース
山の状況
地震情報に注意を払うべきだった。活火山という認識が薄かった
装備
コース
山の状況
地震情報に注意を払うべきだった。活火山という認識が薄かった
装備
コース
山の状況
登山者自身の内的要因分析(技術、知識、体力、経験等)3×5登山者分析表
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
対策

活火山に登る際は気象庁サイトにて地震の有無を確認している。

学びの場

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