登山の知識&ヒヤリハット
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ヒヤリハットで疑似体験

富士登山競争の試走、下山時の道間違い

2019年5月11日印刷
発生日 2010年06月10日
体験者名 2019S001
登山地域 富士山(吉田ルート)
登山概要

8:00河口湖駅発(バス)
8:50吉田口五合目着(着替え)
9:10登山開始
11:40山頂到着→お釜3周
13:15山頂発
14:45吉田口五合目着
15:15河口湖行きバス発(最終)
16:00富士吉田着
16:15東京行き高速バス(予約済)

ヒヤリハットタイプ
ヒヤリハット本文

吉田口から山頂往復は試走や登山で20回目、登山歴も15年と道迷いの心配は全くなく登山を開始し、予定通り山頂に着く。
13時、山頂から下山道を下り始める。7月山開きの1ヶ月前の平日、登山者は極少。
トレーニング目的で足腰を鍛えるため”走って”下山を開始した。8合目の吉田口と須走口間違いやすい分岐ポイントも経験済みだし「大丈夫!」だと思っていた。下山開始後、しばらくして通常設置してあるはずの色別の看板(富士山はルート別に色分けした看板がある)が無い事に薄々と気付き始める。でも経験上、間違えるはずは無い!自信があり「快調」に飛ばしていた。気付くと何故か一直線に下る登山道を一心不乱に下っていた。
「あれ、なんだか違う!」気付いたのは吉田ルートではなく須走ルートの6合目付近であった。今から8合目の分岐まで登り返す選択肢もあったが、体力も使っていたし、午後になり気温も下がってきていた。頭の中にあったのは「バスの時間」、間に合わないかもしれない。このまま5合目須走口まで下山し、体力はあったので下まで走って下山は出来た。だが財布を含め「荷物」を預けてあったので戻らねばならなかった。地図を広げ、検討をした結果、吉田口へ通じる周遊ルート(お中道)がある事が判明。そこに、たまたまそこを通りかかったのは開山準備中のブルドーザー。事情を話し、やはり「八合目へ登り返すより、お中道を通るのが賢明!」と言われる。たが、「雪解け後で、今年まだ誰も歩いていないだろう。道は不明瞭なはず」とかなり不安なアドバイス。あとは登山歴20年の経験と勘を頼りに進む事にした。
案の定、ペンキやリボン、踏み跡もあったりなかったりとかなり難儀をした。なんとか吉田ルートに合流した時はホッとした。無事、五合目にたどり着き、時間は16時を過ぎ、最終バスは発車した後だった。たまたま停まっていたバンの男性に声をかけ、富士吉田まで送っていただいた。車内で話を聞くと、その男性は富士山を撮り続ける有名なプロカメラマンの○○氏であった。それ以降、彼の富士山カレンダーを買っている。実名は伏せるが、お礼を込め、ここに事実を公表したい。

要因分析
装備や外的要因の分析(3×3要因分析表)
装備
コース
山の状況
装備
コース
山の状況
装備
コース
山の状況
登山者自身の内的要因分析(技術、知識、体力、経験等)3×5登山者分析表
楽観的・希望的な解釈
20回以上歩いていたから間違えるわけがない!という自信
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
地図を再考
安全最重視の行動
慎重にお中道をたどる(最悪、来た道を戻る)
リスク低減行動の継続的実践
リボン・踏み跡・ペンキ・登山道跡を確実に進む
その他
対策

かなり昔の事象と侮るなかれ。
山開き前の看板無しの状況は今も変わっていないと思います!
5〜6月富士登山競争の試走に行く方は特に気をつけてください!

学びの場

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20181018 2019年7月2日印刷
STEP2 省察
装備や外的要因の分析(3×3要因分析表)
装備
ヘッドライト、ビバーク装備は準備したか
コース
山の状況
装備
コース
山の状況
装備
コース
山の状況
登山者自身の内的要因分析(技術、知識、体力、経験等)3×5登山者分析表
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
ルート別に色分けした看板がないことにうすうす気づいたときに現在位置をしっかりと確認しなかったのがよい
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
6合目付近で間違いに気づいたときに、お中道を行くかの判断を客観的に行った
安全最重視の行動
・ヘッドライトやビバーク装備があれば、バスには間に合わないが最悪の事態は回避できるのでもっと余裕をもって判断できたと思う。
・今回は無事に吉田ルートに出られたが、確実に下山するという点では須走口に下った方がよかったのではないか
リスク低減行動の継続的実践
その他
STEP3 概念化

■類似した自分の登山経験

■どのように対応すべきと考えたか

・ルート別に色分けした看板がないので「何かおかしいな」と感じたときに立ち止まって現在位置確認などの対応をとるべきである。
・6合目で間違いがはっきりしたときに、当初の目的地に効率よく行けるが、よく知らないルートであるお中道を選択したのは正解だったのか?

■今回の分析で獲得した知識や技術

■今回の分析で得た(気づいた)発想

STEP4 専門家との意見交換や登山での実践を行った結果

STEP2とSTEP3の内容の振り返り結果

1.どこを歩いているのかがだいたい把握できている場合には、常時、現在、地図を見て現在位置を把握することはしないと思うが、「何かおかしいな」という違和感を感じた場合(今回の例ではルート別に色分けした看板がないことに気付いた時点)には、その場で立ち止まって現在位置を確認するとともに、これまでの行動の経緯や今後の進路についてよく検討する習慣を身に着けたい。ちょっとおかしいなという違和感を感じるスキルは経験知である。これを感じたときには非常に重要なサインが出たと思ってすぐに対応したい。

2.6合目付近で間違いに気づいたときの判断としては
①確実に下山できるように須走口に下る
②間違えたところの8合目まで登り返す
③体力や時間の点でもっとも楽なルートが選択する
の選択肢がある。
今回は、
・荷物を吉田口に置いてあること、
・最終バスの時刻までに吉田ルートの5合目へ戻りたいこと
・気付いた時刻は午後になっていた
・体力はかなり消耗している
という制約条件のなかでは確実に③を選択することになってしまう。
安全で確実に下山するという条件では①の選択がよいだろう。
①と③のどちらがよかったかは結論付けられない。

下山での間違いが発生するのは、一般的には午後で、体力も消耗していることから
どうしても時間と体力の点から有利な選択肢を選ぶ傾向がある。
これが結果的に大きな問題を引き起こすことになる場合があることを肝に銘じて行動するべきである。

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