登山の知識&ヒヤリハット
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ヒヤリハットで疑似体験

大菩薩北尾根迷走

2017年2月24日印刷
発生日 2005年05月29日
体験者名 2016年Y702
登山地域 奥多摩 泉水谷支流 小室川谷~大菩薩北尾根
登山概要

■パーティ人数:3
■山行スタイル:個人山行
■宿泊:日帰り
■登山内容:その他
■天気:晴れ

ヒヤリハットタイプ

■解決種別:自力下山
■場所 :沢の下り
■原因(環境):分かれ道
■原因(人):
■道に迷ったかもと感じたときにすぐに対応したか:No
■迷ったときに現在位置を把握できたか:No
■現在位置や正しいルートを確認する手段:地図
■道迷い後の行動:停滞(行動し続けるが解決できずに停滞)

ヒヤリハット本文

男性3人で日帰りの予定で沢歩き兼山女魚釣りに行った。中ノ沢から入渓。3段30mの滝を越えて少し行ったところで遡行終了した。(14:00)左岸に帰路を探したが見つけることができず、しゃにむに北尾根に這い上がった。尾根上にはわずかな踏み跡があってそれを拾いながら下降開始。その日、地形図は持っていたが、高度計,コンパスは持って行かなかった。尾根の分岐で急峻な右を避けて、なだらかな左斜面を行く。やがてしっかりした踏み跡(水源林巡視路)に行き当たった。(この時点で16:00少し前)2時間で林道または本流出合にたどり着けると予想した。しかしこの道は、歩いても歩いても高度を下げず、尾根中腹を、沢を巻きながら延々続いていた。やがて日が暮れて、3人ともヘッドランプは持っていたが、すぐに2人の電池は上がってしまった。もう一つもやがて電池切れ。一人がガスカートリッジに取り付けるタイプのランタンヘッドを持っていて,それを点灯して歩き続けた。道の二又に出たが、どちらに行っても沢に突き当たって道は途切れていた。何度か行ったり来たりしたが、あきらめてビバークを決める。(22:00)少し開けた沢の近くでお湯を沸かし、コーヒーをたて、残った食料を食べた。落ち葉を集めてマットとし、カッパの上下を着込んで寝たが、寒かった。小さな焚き火をする。ウェーディングシューズを脱いで濡れた部分を乾かす。まどろんで夜明けとともに行動開始。沢に沿った踏み跡を下って、対岸に道を探したところ中腹に道らしきを発見。ビバークしたその沢は、入渓点、中ノ沢だった。その道から見た対岸で右往左往していたことになる。(二又のもう一方の道は遡行終了して尾根に取り付いた小沢だった。)8時間歩いて元の場所に戻っていたことになる。リングワンデルングということなのか。なんとか無事に三条新橋の車止めにたどり着き、丹波山村で携帯のアンテナが立ったところで、家、勤め先などに電話で無事を伝える。

要因分析
装備や外的要因の分析(3×3要因分析表)
装備
コース
山の状況
装備
コース
山の状況
装備
この日、残った食料はわずかだった。日帰りといえども予備食料は持って行くべきだった。
コース
路に取り付いた所には,林班境界の看板があった。付近に道があることは確信した。しかし、道は3mほどの崩落に埋もれて見つけられなかった。3mも登れば立派な道があったのに沢通しでは下りたくない、という気持ちが強く働いて冷静さを失った。 1990年、山と渓谷社「沢登り・入門とガイド」(吉川栄一 編)によれば、小室川谷の下降路、大菩薩北尾根について「~~自信のある人は下ってみると楽しいが必ず迷う。」と書いてあります。その通りになりました。
山の状況
登山者自身の内的要因分析(技術、知識、体力、経験等)3×5登山者分析表
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
日帰りで、しかも勝手知ったる泉水谷ということで、気楽な沢歩きと釣だった。しかし小室川谷は初めてだった。
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
このときのメンバーは20年近く山や渓をともにしてきた仲間。パニックに陥ることもなく落ち着いていたと思う。
対策

1)整備された道のない、初めての尾根を歩くときは、最初に下ってはいけない。一度登りを歩いて、地形を把握してからにする。(登りは上へ上へと歩けばピークは一点だが、下りは到達点が無限にある) 後日、この水源林巡視路(大黒茂林道)全コースと大菩薩北尾根を使って大菩薩嶺に登った。何処でどう間違えたのか良く理解できた。 2)地形図、コンパス、高度計は必ず持って行く。 3)山を歩き始めた頃、「3日間生存できるだけの食料と水分は持ち歩け」と教わった。当初はこれを実践していたが、、、、。何でも良いから食料は余分に持ち歩くようにしている。 4)道を探すときは落ち着いてしっかり探す。道を見失ったら引き返す,という選択肢があることを忘れてはならない。

学びの場

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