登山の知識&ヒヤリハット
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ヒヤリハットで疑似体験

夏の槍ヶ岳北鎌尾根

2018年1月17日印刷
発生日 2002年08月06日
体験者名 2017年Y013
登山地域 槍ヶ岳
登山概要

■パーティ人数:1人
■山行スタイル:個人山行
■宿泊:テント泊
■登山内容:縦走
■天気:晴れ

ヒヤリハットタイプ

■解決種別:自力下山
■登山計画時にそのリスクに対する検討を行ったか:少しした
■行動中にリスク回避や軽減が行えたか:した

ヒヤリハット本文

?@遭難日時 平成14年8月6日(火)午前?A遭難場所 北鎌沢左俣標高2,600m地点?B遭難期間 8月6日(火)~14日(水)9日間?C食糧 山小屋調達?D遭難原因:8月6日午前4時前に北鎌沢出合出発。北鎌沢右俣に進入すべきところを誤って左俣に進入。左俣に進入して間もなく雪渓が出現。アイゼン、ピッケルは不携行。躊躇なく前進。徐々に高度を稼ぐ。後ろを振り返ると雪渓の傾斜が想像以上に急であることに緊張感と恐怖心を覚える。前方に北鎌の稜線と思しき尾根が目に入った時、クレバス出現。前進不可能。地図とコンパスで現在地を推測。初めて左俣に迷い込んだことを認識。右岸側の高捲きを試みたが高さ約10m地点から滑落。両足を強打。激痛のため歩行不能。登山者との遭遇を期待して、それまでの間ビバークを決断する。?E遭難概要:8月6日~8月13日、左俣右岸側のテラス(畳一枚程度)でビバーク。頭上からの落石多し。夜は、エスパースを被って就寝。水は、降雨の時、カップから10ℓ水筒に確保。非常食は、2日で尽きたため、あとはブランデー、たばこ、水で精神的欲求、肉体的欲求を凌ぐ。登山者まったく遭遇せず。頭上からの落石と不安から睡眠もままならず精神的動揺日増しに募る。?F救助概要:晴れた日は銀マットを対岸の東鎌尾根方向に向けて太陽光線を反射させ続ける。8月12日、13日に救助ヘリが貧乏沢から北鎌沢を捜索。自分自身の捜索と確信する。テントやヤッケをヘリに向かってなびかせるも、効果なし。最大のチャンスを逃して絶望感がピーク。14日朝に自力脱出を決断。雪渓をクライムダウン。登山靴のつま先を雪渓に蹴りこんでステップを築きながら慎重に下降。体力の衰退と滑落の危険性を考慮して50m/1時間のスロ-ペ-ス。500m程度降下地点の休憩時に人の声が聞こえる。幻聴かと思い冷静に聞いても間違いない。「ヤマベ!」と聞こえる。学生時代からの同郷の岳友に間違いないと大声で名前を叫ぶ。合流した時の感動は今でも忘れず。信じられないことに、岳友たちが福岡から救助に来てくれて、遭難スポットを北鎌尾根に絞り込み貧乏沢から北鎌沢方面に双眼鏡で捜索中、偶然にも銀マットからの反射光をゲット。

要因分析
装備や外的要因の分析(3×3要因分析表)
装備
装備は極力軽量化に努めた。(朝、昼、夜の食事は山小屋から調達するなど)
コース
山の状況
学生時代の記憶が希薄になっている状況で、写真、登山記録のみの情報で正確な現地の情報把握が軽率であった。
装備
コース
山の状況
装備
コース
北鎌沢右俣、左俣の分岐を間違ったことが最大の原因。
山の状況
登山者自身の内的要因分析(技術、知識、体力、経験等)3×5登山者分析表
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
学生時代の体力を現在の体力に置き換えて計画樹立。山行計画そのものに無理があったと反省している。コース設定というよりも期間(短すぎた)に問題があると思慮。
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
楽観的・希望的な解釈
調査・観測結果に基づくリスク対策行動
安全最重視の行動
リスク低減行動の継続的実践
その他
対策

・第一に「安全登山」「無事下山」を常に心がけている。天気の急変や身体的異変など危険な環境に遭遇したら先を急ぐよりビバークを決断。 ・遭難等危険な環境下で最も重要なことは「冷静」になること。時間をかけてでも精神状態を落ち着かせれば状況に応じた適切な対応が可能。

学びの場

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